速度の上限は不思議:astronomy015

限界

事務・受付担当の「さいたまあちゃん」です。

 

前回は、時間は伸び縮みするについて、それが実験によって実証されていることを解説しました。

今回は、なぜそうなるのか? についてその仕組みを数回に分けて解説したいと思います。

 

それはある物理現象の限界の存在と関係します。

 

限界というと、多くの人が思い浮かぶのは「温度には限界がある」という事でしょう。 それは、温度の下限である、

絶対零度: −273.15 °Cの事です。

 

そして、速度にも「0」という下限が存在するのですが(当たり前ですが)、速度には上限があるという事は、4月のブログの「1+1=2ではない?~特殊相対性理論:astronomy012」でも触れました。

https://blog.mei-qigong.jp/?p=2085

速度の上限

この世で最も速いもの、それは「光」の速さです。  それは、秒速29万9792.458kmです。

 

「いや、そうとは言い切れない」と考えている人がいらっしゃると思いますが、真偽は別としても、少なくともそれを実験や数式で科学的に証明できた人はまだいません。

逆に科学的に証明できたとしたら、現代の物理学の常識は根底からひっくり返るはずです。(科学的に証明出来たら、ノーベル物理学賞がもらえると思います)

 

この前提が簡単には崩れないのは、様々な実験による裏付けがされているからです。(これに反論するスピリチュアル的な考察は、テーマからそれるのでここではあえて触れません)

光の媒質

今から137年前の1887年に、マイケルソンとモーリーが干渉計を使って有名な実験を行いました。

光の正体について、当時は「波」であるという考えが主流でした。

 

音波もそうですが、波であるからにはそれを伝えるための「媒質」が必要になります。

媒質としては、音の場合は空気や水などの物質がそれにあたります。

 

では、光の媒質はなんでしょうか?

 

光は真空でも伝わるため、媒質にあたるものが存在しないことになってしまいます。

当時の人たちは、目に見えない未知の「エーテル」というものが宇宙を満たしていて、それが光の媒質になっていると予想していました。

(化学で出てくる××エーテルという物質は発見当時、揮発性が高いことから天に帰る物質という意味で、上記の名前が由来になっているが、無関係です)

光速度不変の原理

もしも、エーテルが宇宙空間を静止して満たしているならば、その中を公転している地球上では公転方向からエーテルの風を受ける事になり、その結果公転方向とその左右とでは光の速度に変化が現れるはず、それを干渉計で測定が可能であるという予想に基づく検証実験でした。

ところが、予想に反して光はどの方向でも全く同じ速度であったという予想外の結果が出ました。

この結果から、以下の3つの可能性が導き出されました。

 

①光の媒質とされるエーテルは静止しているのではなく、地球と一緒に動いている

②光の速さは何があっても、どんな状況でも変化はない。(ただし真空中に限った話)

③そもそもエーテルという光の媒質は存在しない。

 

①は地球に引きずられてエーテルが動くという事になり不自然なので、すぐに否定されました。

②を満たすためには、「進行方向の空間が縮まるのだ」と大胆に考えたローレンツという人がいて、これを「ローレンツ収縮」と名付けました。

ただし、③のように「エーテル」の存在はすぐには否定されませんでした。

 

その後、②については観測結果から「光はどの慣性系(動いている乗り物に乗っていてもそうでなくとも関係なく)に対しても同じ速度になる」と定義され、これを「光速度不変の原理」と言います。

そして、これがアインシュタインの相対性理論の基になっています。

ちなみに、アインシュタインもローレンツ収縮の考えをこれに取り入れましたが、エーテルは不要で「それでも理論は成り立つ」と考えました。

この続きは・・・

この「光速度不変の原理」は、なぜ起こるのか?

これは「時間は伸び縮みする」と深い関係があります。

これについて、次回で説明したいと思います。

 

科学