砂漠で1粒の砂を探すより難しい事:astronomy005
もくじ
銀河系の大きさのイメージ
事務・受付担当の「さいたまあちゃん」です。
前回は、「天の川と星座の正体」ついて書きました。
今回は、天の川の正体である銀河系のさらに外側の世界がどのようになっているか?について説明します。
私たちの太陽系が存在する「銀河系」は、直径が10万光年(光の速さで10万年かかる距離)で、2000億個の恒星が集まって巨大な渦巻きになっている事は前回説明しましたが、10万光年と一言で言っても、巨大すぎて想像がつかないと思います。
このサイズをわかりやすく例えるなら、太陽から海王星までの太陽系の直径(太陽と地球の距離の60倍)が1mmの模型をイメージすると良いです。
この場合、銀河系の模型は、1光年が1mくらいのスケールになるので、恒星と恒星の平均間隔は4mくらいになり、それらが2000億個集まった直径111kmの渦巻きが銀河系のサイズになります。
ここでさらなる疑問が沸くと思います。
それは、「銀河系のさらに外側はどうなっているのでしょうか?」です。
「太陽という恒星が、唯一無二の存在ではなく、(大きさや色は様々ですが)銀河系の範囲だけでも2000億個の恒星がある」ことが分かっていますが、銀河系も同様で、
「銀河系という銀河が、唯一無二の存在ではなく、(大きさや形は様々ですが)宇宙には「観測可能な範囲」だけでも2兆個の銀河がある」ことが分かっています。
※「銀河系と銀河」の違いは、「太郎と人間」や「太陽と恒星」の関係のように、固有名詞と普通名詞の違いです。(紛らわしいネーミングですね)
局所銀河群とは?
実は、人の社会が、町⇒市⇒県⇒国を作るように、銀河の集団も階層構造になっています。
そして、銀河系を含む銀河の集合グループを「局所銀河群(別名:局部銀河群)」と呼んでいます。
局所銀河群は、直径が約1000万光年あり、約50~60個の様々な大きさや形の銀河の集まりです。
下の図は、約50~60個の内、主な銀河のみ11個抜粋して銀河系からの距離を示したものです。
「大小マゼラン星雲」は、「大マゼラン星雲」と「小マゼラン星雲」に分けられます。
「銀河」ではなく「星雲」と名付けられているのは、肉眼でも雲のように見えるために昔の人が銀河系内にあるガス状の天体である「星雲」と間違えて混同してしまったためで、後に銀河系外にある銀河の1つであることがわかりました。
大マゼラン星雲は、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」で惑星ガミラスとイスカンダルがある目的地に設定された銀河です。
「アンドロメダ銀河」も肉眼で中心部のみぼんやりと見えます。(これは、アニメ「銀河鉄道999」の目的地でした)
アンドロメダ銀河は、私達の太陽系がある銀河系と同じ渦巻型の銀河であり、局所銀河群の中でも銀河系とアンドロメダ銀河が代表的でサイズが大きく、アンドロメダ銀河は銀河系の直径の2倍もあります。
アンドロメダ銀河と私たちの銀河系は、時速40万km(地球と月の距離を1時間弱で移動)で接近していて、40億年後には、私たちの銀河系と衝突して合体し、1つの銀河になるそうです。
もしそうなっても、お互いの恒星と恒星が衝突する可能性はとても低く、太陽系も無事らしいです。 それだけ恒星と恒星の間隔はスカスカだという事です。
ただし、この衝突とは関係なしに、私たちの太陽の寿命が後50億年しか持たないですが(これについての詳細は別途)・・・
おとめ座超銀河団とは?
次に、「局所銀河群」の外側はどのような世界なのかを説明します。
先ほど説明したように、町が集まって市になるように、さらに上の集団の中の1つになっています。
「銀河群」と「銀河団」の違いは、含まれている銀河の数の差によるものです。(おおよそ50~60個より上か下かで分けているようですから、局所銀河群よりも銀河の数が多ければ銀河団と命名するような感じです)
例えるなら、住んでいる人が少なければ「村」ですが、多ければ「町」になるのと同じです。
そして、私達の銀河系がある「局所銀河群」を含む、複数の銀河群や銀河団が、直径1億光年の範囲に集まったグループを「おとめ座超銀河団」と呼んでいます。
「銀河群」や「銀河団」が集まると「超銀河団」になります。
このように、銀河群や銀河団などを形成しているという事は、銀河の集まりの密集度は均一ではなく、ムラがあるという事を意味します。
ラニアケア超銀河団とは?
さらに「市」が集まって「県」になるように、複数の超銀河団が集まったグループにも名前がついていますが、何故か「超銀河団」が集まっても「超銀河団」と呼びます。
そして、先ほどの「おとめ座超銀河団」を含む超銀河団がいくつか集まって「ラニアケア超銀河団」と呼んでいます。(図中、黄色で示された部分)
「ラニアケア超銀河団」は直径が5億光年あり、銀河系のような銀河が10万個含まれているそうです。
先ほど、銀河群や銀河団の密集度は均一ではなく、ムラがあることを説明しましたが、ここまで大きなスケールで構造を見ると、それがさらに別の形で顕著に現れます。
それは、図中に「ボイド」と記されている箇所のように、銀河や星が存在していない空間があることです。
これがまるで泡のように点在していることが観測によってわかりました。
1つのボイドの直径は、数億光年もあります。
宇宙の大規模構造とは?
そして、さらに大きなスケールで俯瞰すると、「ラニアケア超銀河団」は、泡のような構造の一部分であることがわかりました。
このような宇宙の泡のような構造を「宇宙の大規模構造」と呼びます。(泡の1つ1つは「ボイド」の事です)
「泡」以外の例えでは、人間の脳の神経細胞の構造にそっくりだという論文もありましたし、「ダークマター(暗黒物質)」という未発見の物質の分布と一致していることも観測によってわかっています。 神秘的ですね。(ダークマターについてはまた別途)
そして、この構造は人類が観測可能な範囲(半径465億光年)を超えて全宇宙に広がっていると予想されています。
大規模構造まで進出したら、迷子になりそうですね。
※「宇宙の果てがあるのかないのか?、どのようになっているのか?」については、今後説明する予定です。
宇宙人に地球の住所を示すとしたら
もしも宇宙人に対して、地球の住所を示すとしたら以下のようになるでしょう。
「ラニアケア超銀河団 おとめ座超銀河団、局所銀河群、銀河系、オリオン腕、太陽系、第三番惑星、地球」
※銀河系の渦巻き構造も名前がついていて、私達の太陽系がある場所は「オリオン腕」と呼んでいます。
とはいっても、この住所は地球人が決めたものであり、全宇宙には全く通用しません。
宇宙の大規模構造から地球を探すのは、同じような景色が果てしなく続く砂漠で1粒の砂を探すより難しい事です。
【参考動画】宇宙の大規模構造のイメージ動画