宇宙は膨張している!~宇宙誕生:astronomy011

遠くの銀河は全て地球から遠ざかっている!

事務・受付担当の「さいたまあちゃん」です。

 

前回は、「星や銀河の距離の測り方」ついて解説しました。

今回は、「宇宙は膨張しているという発見から、宇宙誕生」について解説していこうと思います。

 

事の発端は、今から約113年ほど前(1910年)にアメリカの天文学者のスライファーが銀河系の外の各銀河の光から「どんな元素が含まれているか」を調べていました。

※ちなみに、星からの光を調べると、どんな元素で出来ているかを調べることが出来るというのは、光のスペクトル(プリズムで分光=虹のように分ける)を調べた時、吸収線の現れ方の違いで分かるのですが、これについては下記ブログで詳しく説明しています。

https://blog.mei-qigong.jp/?p=1633

 

スライファーは、これを調べている時に思いがけない発見をしました。 遠くの銀河はどれも地球を中心に時速数百万kmという猛スピードで遠ざかっているという事でした。

ところで、銀河が遠ざかっているとか、その速度はどのようにしてわかるのでしょうか?

ヒントは、救急車のサイレン

そのヒントは、救急車のサイレンの音です。

 

救急車が近づいてくるときと、遠ざかるときでは、高い音から低い音に変化します。

音は波であり、近づくときは波長が短く、遠ざかるときは波長が長くなるため耳はそれを音の変化として感じます。

これを「ドップラー効果」と言います。 →今から178年前(1845年)にトランペットの実験で確かめられました。

 

光も波の一種であり、光源が近づくときに波長が短く、遠ざかるときは波長が長くなるため目はそれを色の変化として感じます。

具体的には、近づくときは青っぽく見え、遠ざかるときは赤っぽく見えます。(ただし目ではっきりと感じるのは、速度が非常に速い遠くの銀河ですから測定器で観測しないとわかりません)

これもドップラー効果ですが、音と区別するために「光のドップラー効果」と言う事が多いです。

 

ちなみに、ドップラー効果を発見したのは、オーストリアの物理学者の「クリスティアン・ヨハン・ドップラー」ですが、意外にもドップラー効果は音よりも光の方が3年も早く発見されています。(2重星の観測で光のドップラー効果を発見したようです)

(今から181年前(1842年)が光のドップラー効果の発見、178年前(1845年)=音のドップラー効果の発見)

ドップラー効果は聞いたことがあると思いますが、銀河が遠ざかっているのを発見したスライファーという名前は私は聞いたことがなかったです。  かなり損をしていますね。

ハッブルが有名なのは何故?

「ハッブルの法則」や「ハッブル宇宙望遠鏡」など、ハッブルという言葉をよく耳にします。

 

有名な「ハッブルの法則」も先ほどのスライファーと同様に、全ての銀河は地球から遠ざかっているという発見に関連していますが、スライファーの最初の発見の19年後に出来た法則です。

ハッブルのこの発見が、何故これほど有名なのでしょうか?

 

それは単に遠ざかっているというだけでなく、距離との関係に法則があるというのを発見したからです。

これを「ハッブルの法則」(旧名)と言います。

 

例えば、地球(太陽系や銀河系)を中心に各銀河の距離が2倍離れていると速度も2倍に、距離が5倍離れていると速度も5倍になるという事です。

 

この大発見が「宇宙は膨張している」や、宇宙の始まりである「ビッグバン理論」へとつながっていくわけですが、実は2018年から「ハッブル-ルメートルの法則」と呼ぶことが推奨されました。

この法則はハッブルが1929年(今から94年前)に発表した法則ですが、後にそれより2年も早くルメートルが発見していたことが明らかになったからです。

 

ルメートルは、当時フランス語でマイナーな雑誌に掲載されたため、注目を浴びなかったらしく、2018年になってその功績を称えるため、法則の名称にルメートルの名をつけるよう推奨されることが議会で決定された経緯があります。(あくまでも推奨ですが)

 

発表の仕方はいかに重要であるかがわかります。

それがなぜ宇宙膨張に結び付くのか?

この観測結果で不自然に思える事が2つありますが、これがそのヒントになります。

 

①地球を中心に銀河が離れて行くという部分ですが、偶然にも地球が宇宙の中心であるのは、とても不自然である。

距離に比例して離れる速度が増し、134億光年にある遠い銀河は光速に近い速度で遠ざかるように見えるが、小さな素粒子ならともかく巨大な銀河全体がそこまで加速するのは不自然である。

※この法則により遠ざかる速度(後退速度という)は1億光年では秒速2000kmでも、134億光年では、2000×134倍=秒速268000km=光速の約90%にもなるし(後退速度については近年、人工衛星を使って高精度で計算された)、宇宙はさらに何倍も広いのでこれより遠い銀河は当然、光速を超える速度で遠ざかっているはず・・・

 

この2つをうまく解決するのが、「宇宙は膨張をしている」という事になります。

それは、次の膨らむ葡萄パンをイメージするとわかります。

宇宙膨張のイメージは膨らむ葡萄パン

膨張する宇宙がパンで、その中にある銀河が干し葡萄だとします。

パンが膨らむと各干し葡萄の大きさは変わらず、干し葡萄と干し葡萄の間隔が開いていきます。(干し葡萄の間隔とパンの耳の位置関係はイメージであり、実際は果て”耳”にあたる部分は気が遠くなる程遠いと予想されている(宇宙全体の大きさの解説については別途))

 

この干し葡萄の間隔の開き方が、距離に比例して離れる速度が速くなるという「ハッブル-ルメートルの法則」に従います

それと、図のA地点でもB地点でも、そこを中心に周りの干し葡萄が「ハッブル-ルメートルの法則」に従って遠ざかっているように見えます。

 

つまり、観測地点が宇宙の中心でなくとも関係なく、宇宙の全地点で同じように観測されるという事になります。

これが宇宙が膨張しているという結論に至る根拠です。

 

そして、宇宙が膨張しているということは、過去に遡れば全ての銀河はやがて1点に集まることになるので、「宇宙は1点から始まった」という「ビッグバン理論」に結び付きました。

次回は「ビッグバン理論」について解説します。

宇宙膨張についての補足

最後に、葡萄パンの例で各干し葡萄自身が膨張しないのは、膨張力よりも葡萄の形を維持する力が勝っているからです。

これを宇宙に置き換えても、膨張によって各銀河が間延びしたりはしないことが分かっています。

 

狭い範囲では、膨張力よりも形を維持する重力のが勝るからです。

具体的には重力が勝つ範囲は約3000万光年以内なので、銀河どころか銀河群レベルまで間延びしない事になります。

⇒近い銀河は膨張の影響を受けないので冒頭でも「遠くの銀河は~」と解説していました。

当然、私達の体レベルも宇宙膨張による影響はありません。(身近の距離では重力だけでなく、原子や分子の形を維持する「電磁気力」や「強い相互作用の力」などの非常に強い力も加わる)

 

さらに付け加えると、パンが膨張してもパンの生地に対しては干し葡萄は全く移動していません。

これは、膨張により銀河が遠ざかっているように見えても、銀河自身が宇宙空間に対して移動しているわけではない事を意味します。(重力によって銀河同士が引き合って近づくという固有運動はしているが、その場合はパン生地に対して移動しているのと同じで、宇宙空間に対して移動している事になる→この移動は光速よりはるかに遅い=光速の0.03%程度である)

→これが、物理法則では速度の上限が光速であるのに対し、唯一、宇宙膨張だけが光速を超えても問題ない(相対性理論にも反しない)という理由にもなっています。(気や超能力の伝達速度は光速を超える可能性についてはここでは言及しません。 あくまでも解明された現代科学ではこのようになっているという解説です)

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